理学療法士&鍼灸師のダブルライセンスで起業して6年以上、 病院とも提携しながら社員時代よりも収入アップ、ストレスが減った私がお話させていただきます
「開業なんて無理」
「将来がみえない」
そんなお悩みを実際経験から解消します
この記事の対象者は理学療法士、作業療法士、鍼灸師、リフレクソロジスト、整体師、アロマセラピストに向けてお伝えします
どんな職種でも今までと異なる場所で働くときに落とし穴になることが
法律関係・・専門用語で関係法規です
関係法規とは職種に関わる法律関係をまとめたものになあります
どんな職種でも損害賠償や守秘義務についてはの話は何となくイメージができるかもしれませんが
業務内容に関わることも取り決まりがあります
今回のお話は起業するにあたり、使っていい名前や業務サービス等の法律です
サービスの種類によっては届出や業務独占といって行ってはいけないものもあります
ほとんどの方が開業に夢を膨らませて事業形態やサービス内容に凝った内容を盛り込みます
ですが、大前提として法律を守らないと後々に修正に時間や費用がかかったり
最悪、やり直した方が早いことにもなりかねません
・事業名に載せていい名称はあるのか?
・仕事内容の呼び方はこれでいいのか?
・そもそも施術自体してもよいのか?
・理学療法士のマッサージは違法なのか?
こんなことを悩んだり、考えたことはありませんか?
法律関係はややこしくて、面白くない内容ですが、頭の片隅には入れておきましょう
理論武装ほど心強いものはありません
開業したけど
違法だと知らなかった・・・
なんてことにならないようにしましょう
この記事でのメリットは
- 職種別の抑えておきたい法律がわかる
- 打開策を知ることができる
以上になります
結論
・マッサージと名乗ってはいけないが別の手技として名乗って業務を行うことは可能
・タイトルの理学療法士のマッサージは違法です(病院内はOK)
※法改正や職種によって多少の変化はありますので、細かい内容については最終的にはご自身で調べて確認してください
理学療法士のマッサージ開業における問題について
![](https://amateur-start-a-company.com/wp-content/uploads/2022/02/toa-heftiba-a9pFSC8dTlo-unsplash-1.jpg)
まずは馴染みの深い理学療法士や作業療法士の話になります
名称は一旦理学療法士にまとめて進めさせていただきます
「理学療法士および作業療法士法」というものが昭和40年に施行されました
ここを調べれば大体はわかりますが、重要な点を掻い摘んでご紹介します
理学療法士、作業療法士の方が治療院で開業するにあたって簡単にお伝えしますと
- 医師の指示がない場合、理学療法での施術と名乗ってはいけない
- マッサージと称して施術をしてはいけない
- 診断してはいけない
- 治療院の名称に~科など医療を連想させてはいけない 医業と誤認される恐れのある記載は基本ダメ
理学療法士として起業できないの?と思われるかもしれませんが
療法士の免許を持っていれば、名乗ることに何ら問題はないです
理学療法士が理学療法を仕事とする場合は
第15条第1項
「理学療法士又は作業療法士は診療の補助として理学療法又は作業療法を行うことを業とすることができる」とあります
診療の補助とは医師の指示、管理下でのことを指します
ですので、医師とのやり取り、許可がないと理学療法と名乗ることはいけません
近頃は自由診療で行うところも医師に許可を求める書類を作成して患者さんにサインを求めるところもあります
医師の指示がない場合は
「今から理学療法やりますねー」
「うちでは理学療法をしています」
と名乗ってはいけません
他にも通常業務と同様に医師のような診断をしてはいけません
病院内では医師の指示の下、許されていたマッサージも名称としては使ってはいけません
これはあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律に抵触します
「今からマッサージします」
「マッサージできます」
といった会話は病院など医師の指示がある場合はOKですが、それ以外はNGになります
他にも診断は医師法、医療法に抵触します
「この原因は何々です」
「これは~病です」
など言うことはできません
広告にも規制があり、 看板、名刺などの表記も記載してはいけないことがあります
医療を思われるような表記はしてはいけません
名称に~科、診察所などを使うことです
逆に自由診療であるから規制がない部分もあります
鍼灸師や柔道整復師では広告として載せていい内容が決まっています
医療職の場合は規制によって、広告に記載してはいけないことが決められています
打開策については後述します
他職種から違法か学ぼう【鍼灸師の法律関係について】
![](https://amateur-start-a-company.com/wp-content/uploads/2022/02/acupuncture-gf283bff71_1920-1.jpg)
鍼灸師・柔道整復師の方は既にご存じだと思います
養成学校の授業でしっかり習っていることでしょう
これは職種として自営業をする方が多いため、知識として必要だからだと思います
鍼灸師に関しては 「あんま指圧マッサージ師、はり師、きゅう師に関する法律」で定められています
前述した理学療法と要点については大差はありません
- 医師が行うような紛らわしい名前をつけてはいけない
- 診断を行ってはいけない
- マッサージの資格がない中でマッサージと称してはいけない
このあたりに注意が必要です
屋号(店の名前)の名称については最近では自由な名称が多いです
一昔前は「~治療院」「~鍼灸院」といった名称がほとんどでしたが
おしゃれな感じの「~の森」「~センター」「~研究所」などの名称がみられます
鍼灸治療だけでなく、美容やトレーニングなどもコンセプトにされており
名称もそれに合わせて変化している印象です
この辺りは理学療法士など他職種も是非参考にされてはと思います
柔道整復師でも規制内容はほぼ同じですが、業務内容が異なります
「柔道整復師法」や一般的な解釈では
「骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる外傷性が明らかな原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をしない「非観血的療法」によって、整復・固定などを行う」
これが業務内容です
ですから、医師以外が整復を行うことも応急処置を除いては基本NGですし、柔道整復師の方がこれ以外のことをすることもNGとなります
理学療法士の方が肩関節の脱臼を治せるからといって、安易に行い、料金をもらうと問題になる可能性があります
美容サロン、リラクゼーション系のマッサージ関連の違法性について
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美容サロン系は「エステティック業」や「リラクゼーション業」を想定してお話します
エステティック業は
「手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体型を整えるなどの指導又は施術を行う事業所をいう」
リラクゼーション業(手技を用いるもの)
「手技を用いて心身の緊張を弛緩させるための施術を行う事業所をいう」
以上が総務省の日本標準産業分類であります
気を付けるべきポイント
- 医療行為(身体に傷をつけるようなこと)はできない
- 内容によっては美容師免許も必要
- マッサージと名乗ってはいけない
- 取引そのものも気を付けましょう
順に説明していきます
まず医師法により人体に危害が及ぶ可能性のある施術はしてはいけません
線引きは難しいですが、レーザーはまずダメです
光脱毛など民間で市販されているようなもの、 ブラジリアンワックスなども現状はOKです
ですが、事故が出れば政府の対応が変わるかもしれません
美容師法では
美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできないとあります
美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」
とされていて、まつ毛エクステなどは眼の炎症事故が出たことがあったことから
判例でダメとなっています
無資格者の施術で事故に繋がるようなことは規制されると捉えておいてよいでしょう
私は「百貨店売り場などでの化粧はどうなんだ?」と思いましたが
これについては商品の説明や行い方を説明しており
昭和55年の厚生労働省の見解から
当該施術が簡易なマッサージ、膚の汚れ落し程度のものである場合には、理容師法及び美容師法のいずれの対象ともならない
とされています
別の判例では、「首から上の容姿を美しくする」ということが判例から美容の範囲とされており、まつ毛エクステンションなどは美容師免許がないとできません
マッサージとして名乗ってはいけない理由は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律」で マッサージはあん摩マッサージ指圧師または医師、医師の診断があった理学療法士および作業療法士しか行えません
もう少し付け加えると医療という謳い文句、それを連想させるような表記はダメです
治療、病気に効果があるなどの言葉もかなり厳しいと思います
ここは言い方次第ですが・・
取引についてあえて載せましたが、その理由として金銭トラブルが出やすいからです
これについては 高額な支払いによって特定商取引法による規制対象になることがあります
契約期間が長期間、5万円を超える契約は注意が必要です
施術内容よりもこちらの方がトラブルになる件数が多く
値段設定や支払い方法は十分に注意しましょう
よくある回数券での収益スタイルには注意が必要です
法律関係を知った上での打開策
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では、人の身体を触って良くする(マッサージに近い手技を行って)仕事がしたい
理学療法士の免許をもっているけど開業したい
今の資格だけではどうすればよいかという方に提案します
この方法でどうでしょうか
- 整体師として起業する
- トレーナーとして起業する
整体師としてマッサージではない施術を行う
1についてまずマッサージとしての解釈ですが
医政医発第1118001号の疑義照会において
「あん摩マッサージ指圧の手技について厚生労働省は「 施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど、あん摩マッサージ指圧師が行わなければ人体に危害を及ぼす、又は及ぼすおそれのある行為については、同条のあん摩マッサージ指圧に該当する」
とあります
つまり、上記のようなものでなければマッサージとはいいません
同じように身体を扱う仕事に
・リフレクソロジー
・リラクゼーション
・カイロプラクティック
・整体師などあります
これらは民間資格や手技名です
名称独占ではないので名乗ろうと思えば名乗れますし、開業しようと思えばできます
リフレクソロジー、リラクゼーションなどはトリートメント、慰安目的として行うものです
カイロプラクティックは厳密に対象があり、欧米では地位の高い職業ですが、日本では十分な法整備がされていません
整体師は民間資格の総称みたいなものです
具体的にこれといったものはなく、徒手で身体の不調を改善させる人のようなところです
資格は何でもよいので、これらを自分の仕事として行います
つまり理学療法士、作業療法士の資格を持っている人は理学療法を捨てるのです
(医師の指示がないので)
もしくは、これはマッサージでなく、別の〇〇ですと言い切るようにして仕事をします
鍼灸師・柔道整復師は
「鍼灸のあとの柔ねん師は「鍼灸の揉燃(鍼をするにあたって、委託内容に皮膚を触ること)」
「捻挫とみて治療しています」
など言い方次第です・・
人によっては抵抗感がものすごく出るかと思います
ここは向き不向きが出るところですが
意外と世間の人達は気にも留めていません
「資格なんてなんでもいいから私の身体を治して」
これが本音です
逆に資格を選ぶ材料にする人はもちろんいます
取引先が一般の消費者から一般企業・施設等になると重要視されます
私が考えたお勧め資格名はフィジオロジー、フィジオトレーナーです。
勝手につけましたが、どうでしょう。かっこよく。腕が良さそうでしょ。
理学療法の造語ですが、英語ではphysicalで、ヨーロッパ、オーストラリアではPhysioです。
このあたりをうまく造語で作るのはどうでしょう
トレーナーとしてマッサージではない施術を行う
![](https://amateur-start-a-company.com/wp-content/uploads/2022/02/bruce-mars-HHXdPG_eTIQ-unsplash-1-1.jpg)
次にトレーナーとして働くことをお勧めします
こちらもトレーナー系の資格は山程ありますが、あってもなくても問題はないです
名称独占のアスレチックトレーナーなどは勝手に名乗ることはできません
サービスを提供するうえではトレーニングを指導しつつ
過程で状態を確認(リラクゼーション?) であれば、十分に商売として成立するでしょう
最近はパーソナルトレーナーとしての活躍される方は多いです
理学療法士がマッサージは違法か【まとめ】
ここまででお伝えした人の身体を触ることで問題にならないかと心配される方や
規制されて仕事ができなくなるのではと考えている方もいらっしゃると思います
私があん摩指圧マッサージ師の方と一緒に働いていた10年以上前のことですが
協会から無資格者に対しての抗議文を厚生労働省に送っていました
しかし、何も変わりませんし、ニュースになるような重大事故、事件が起こらない限り
まずこのままでしょう
医療保険の事業であれば税金なので政府もこれを理由に規制へと動くとは思いますが
「職業選択の自由」という考えや、政府が介入するメリットがないことが大きいと思います
どうしても理学療法士として開業したいのであれば
理学療法士等も医師の指示があれば業務も可能ですし
意外と指示書を書いてくれる医師はいます
お伝えしたいことは
何かしらうまく仕事をしていく方法はあります
無資格で行う場合は事故に気を付けなければいけませんが、法令上は行う方法はあります
むしろ無駄な資格をとる費用と時間を有効に活用をする方法を検討する方がよいと思います
このような場合は一度、近い業種で働くのがスキル・勉強が学べて良いと思います
意外といけるもんだなと思うかもしれませんので、短い期間でも働いてはどうでしょうか
個人的には法律に違反しない範囲でうまく立ち回ることが賢い生き方だと思います
結論
・マッサージと名乗ってはいけないが別の手技として名乗って業務を行うことは可能
・理学療法士が医師の指示以外でマッサージを行うことは違法
今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました